空港を拠点とした、新たな企業間交流の場を目指して|terminal.0 HANEDA

#ファシリティ#モビリティ#実証実験

2024年2月下旬、新たにHANEDA INNOVATION CITYに誕生したterminal.0 HANEDA(ターミナル・ゼロ ハネダ。以下、terminal.0)。ここは空港にまつわるテクノロジーの研究開発と実証実験を行うことを目指したR&D兼コワーキングスペースです。従来のコワーキング施設とは一線を画し、空港関連サービスの向上に特化した仕掛けが備え付けられています。写真とともに館内の様子を詳しく見ていきましょう。

新たな出発地点としての願いを込めた「0」(ゼロ)

エントランスに一足踏み出せば、空港の出発ロビーを再現した電光掲示板とゲートが目に留まります。館内の呼び出し音には空港で一度は耳にする“あの音”が採用され、これから旅に出るかのような気分に。 

それもそのはず terminal.0は、羽田空港第1〜第3ターミナルに次ぐ新たなターミナルとして 0(ゼロ)と名付けられました。これからは空港にまつわる技術開発のターミナルとして中心的役割を担うことを期待されています。

保安検査場の金属探知機も設置。いかにスムーズでストレスなく通過できるかなど、必要に応じて随時実物で実証実験が可能に。
保安検査での手荷物検査で使用するトレーも完備。これら空港を再現した設備を用いた技術開発や企業間の意見交換なども期待される。
エントランスにはカフェを再現したカウンターも。休憩や雑談スペースとしてはもちろん、企業交流を目指したイベントスペースとしても活用される。

企業間の交流を加速させるワーキングスペース 

館内にはカフェ型のコワーキングスペースや、企業別の個別ワークスペースなど、幅広い種類のワークスペースが設置されています。どの空間にも一貫しているのが、交流促進を目指した工夫です。

例えば、さまざまな人が集って仕事をするコワーキングには、気軽に実証実験できるような仕組みを作り、フットワーク良く試作品のフィードバックを収集することも可能に。さらに開放的な空間にすることで、企業間の交流を促し、新たなビジネスが生まれる場としての役割も兼ね備えています。

ラウンジのような雰囲気のフリーアドレスのコワーキングスペース。個々のペースで仕事や打ち合わせが可能に。取材時も実証実験の一貫として、アロマフレグランスのアンケートや、種類別における床材の実験などが行われていた。
2階には入居企業ごとの独立スペースも完備。入居者同士の交流促進を目指していることから、空間をあえてガラスで仕切ることで開放的な空間を目指している。
打ち合わせの種類に応じて使い分けられるさまざまな共有スペースを完備。中でも畳の打ち合わせスペースは、自然光が降り注ぐ心地よい空間に。ラフな打ち合わせやブレインストーミングなどのアイデア出しにも最適だ。

国内外の空港への展開を目指して

terminal.0 は、ミッションのひとつとして「ここで生み出した成果を羽田空港の各ターミナルや、全国はもちろん世界の空港に展開する」ということを掲げています。利用者にとって空港をより快適で心地のよい空間にすべく、技術開発からフレグランス、アートといった利用者の五感に訴求するアプローチまで、共有の実験スペースで検証できます。

機内空間を再現した施設。白いカーテンが飛行機の天井を再現し、圧迫感などを体感できる。空の旅でのより快適な過ごし方の模索で使用される。
次世代のカートとなるドーナツ・ロボティクス株式会社の自律走行ロボットのデモ機も完備。新たなハードウェアを用いたサービスの展開なども、実物を使いながら具体的に検討ができる。
近年、空港で見かける機会の増えた電動車椅子も。手荷物を持ちながら搭乗口までの長距離の移動をサポートするツールとして近年注目が集まる。こちらはすでに羽田空港内(第1〜3)で導入されている自動運転車椅子(WHILL自動運転サービス)。
出発・到着ロビーに最適な香りを再現すべく、terminal.0で実証実験中のアロマフレグランス「KAORINO」。大田区発の産業として将来的に羽田空港での導入を目指している。

利用者とともにイノベーションを生み出す場として

考え抜かれた館内設備と設計のterminal.0ですが、それを形作り、未来へ繋げていくのは、そこに集う人々の力です。「スタートしたばかりのterminal.0から、これからどのようなイノベーションが生まれ、発展していくのかはまだ未知数。」だと、館内スタッフの満枝まどかさんは話します。 

「terminal.0は羽田空港に近いというのが最大の強みですね。そして空港関連サービスに携わる企業が集まっていることから、スピーディーに打ち合わせや話し合いができ、良いサービスが生まれたらすぐに空港で採用される環境が整っているのが長所です。私たちスタッフも企業交流を促進するようなイベントや催しを積極的に開催しています。まだ動き始めたばかりですが、手探りながらよい空間を作っていきたいです」 

terminal.0 は種を撒いたばかりの花壇のようなワクワク感が満ちていました。ここからどのような芽が出て、花開いていくかはこれからのお楽しみ。未来の空港を形作るゼロ地点が広がっています。

エントランスのカウンターには利用者向けのイベント情報が。SNSでの情報発信も積極的に行い、terminal.0での一体感を生み出している。
館内設備のアンケートも随所に設置。利用者の声を反映した空間づくりを目指す。
誰でも入ることができるエントランススペース「store space」では、参画企業の展示も常時行われている。こちらは株式会社トーヨーカネツの省スペースで実現するセルフサービス自動手荷物預けシステムのデモストレーション。荷物を乗せて、実際にラベルを発券するといった一連の流れを体験することができる。
エントランスの電光掲示板には羽田空港のリアルタイムの運航状況が表示される。まるで空港に来たかのようなワクワク感が漂う。この場所までは誰でも入ることができ、アート関連の展示を行っている入口右手の「atelier.1」も見学可能。
terminal.0 の運営管理に携わる株式会社point0 の満枝まどかさん。利用者とともにこれからも良い空間作りをしていきたいと話す。

INFORMATION

terminal.0 HANEDA (ターミナル・ゼロ ハネダ)

HANEDA INNOVATION CITY C棟2-3階

terminal.0 HANEDA公式サイト

Instagram:@terminal.0haneda

text : Miyu Oshiro photo : Nozomu Ishikawa

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