医療のイノベーションを羽田から。世界最高水準の先進医療の研究を行なう「藤田医科大学東京 先端医療研究センター」とは
HANEDA INNOVATION CITY(以下、HICity)ZONE Aの地下1階から地上4階にある「藤田医科大学東京 先端医療研究センター(以下、研究センター)」。藤田医科大学を筆頭に、国内外の産学共同研究を推進することに加え、世界最高水準の先進医療を提供する「藤田医科大学 羽田クリニック(以下、クリニック)」も合わせて展開しています。いったいどんな施設なのでしょうか。事務部 部長の濱野和治さんと同主任の辻祐介さんに伺いました。

日本の玄関口・羽田だからできる医療の形
藤田医科大学は、愛知県豊明市に拠点を置き、1376床という日本一の病床数を誇る「藤田医科大学病院」を有しています。愛知県では広く知られる大学病院ですが、関東でのクリニックの開院は初とのこと。なぜ羽田を選んだのでしょうか。
濱野さん「HICityが国家戦略特区に指定されたことを受け、医療分野も導入したいということでお話をいただきました。もともと我々は慶應義塾大学と一緒に、多摩川の向こうの「殿町キングスカイフロント」で研究開発をやっていました。そこでの研究開発を実証する場所として、HICityに研究センターを立ち上げることになったのです」

研究センターでは先端医療の研究を進めるだけでなく、その最新の医療技術をクリニックで提供し、研究と治療(臨床)の両方を担うのが特徴です。ただし、先端医療は保険適用外となることが多く、クリニックは自由診療。そのため、来院される方は国内外の富裕層の方がほとんどなのだそう。サービスの一つとして展開している会員制健診クラブ「フジタ エグゼクティブ クラブ羽田」も、最新機器を使った多種多様な精密検査が受けられるものの、入会金は165万円、年会費は66万円と高額。こうしたコンセプトも、羽田という場所だからこそ有効だったと濱野さんは言います。
濱野さん「医療のインバウンド事業とアウトバウンド事業を強化するという国策もあって、藤田医科大学病院では、10年ほど前から海外の富裕層への医療提供を推進してきました。ここからさらにインバウンド事業を拡大していくには、日本の玄関口で、海外からもアクセスがしやすい羽田空港に近いHICityは最適だったのです」
海外から、わざわざ日本へ治療や健診を受けにくる人々が大勢いるのはなぜなのでしょうか。
濱野さん「日本は世界的に見ても人材が豊富ですし、医療の質も優れています。MRIやCTなどの機器は、世界でもっとも保有台数が多いですし、医療機器をつくっている企業には、キヤノンなどの日本企業も多いのです。こうした点を信頼していただいて足を運んでくださるのだと思います」
辻さん「羽田であれば、大きな病院が少ない地方で暮らす方々にも、仕事で東京にくるときに検診や診察を受けていただくことができます。海外だけでなく国内にも強い。それはやはり、この立地の強みだと思います」






最先端の再生医療を提供する自由診療のクリニック
診療内容も実に多彩です。「リジュビネーションセンター」は、いわゆる形成外科や美容外科にあたるもの。最先端の再生医療を通し、口唇口蓋裂、乳がんの手術後の乳房再建など、形成外科領域の治療を提供しているほか、美容外科領域のシミやたるみの治療なども、科学的なエビデンスに基づいて行なっています。
濱野さん「眼科にあたる『アイセンター』には、世界的に認められた角膜外科医である院長の榛村重人先生や、網膜の治療や研究で知られる小沢洋子先生など、部位ごとに名だたる専門の先生方が在籍しています。『リプロダクションセンター』は、先端生殖医療ですね。卵子凍結や精神凍結、体外受精などを行なっており、こちらも著名な先生方がたくさんいらっしゃいます」

このほか、運動機能の回復を目指す「運動器疾患センター」、オーダーメイド型リハビリテーションを提供する「先端リハビリテーションセンター」、世界水準の画像検診ができる「イメージングセンター」に各種精密検査、そして予防のための生活習慣指導を行なう「活動長寿研究センター」まで、充実した診療や検査施設が用意されています。
濱野さん「医療従事者の方が視察に来られると、いちクリニックにこれほどの多くの最新機器があることに驚かれます。最先端の医療機器が揃っていて、ドクターもトップクラス、建物もきれいということで、こんなに充実したクリニックはなかなかないのではないかと思います」







最新機器を使ったリハビリテーションで運動機能回復を目指す
クリニックでは、最新機器を導入したリハビリテーション施設も充実しています。
辻さん「藤田医科大学はもともとリハビリには力を入れてきました。科学的なエビデンスに基づき様々なリハビリに取り組んでいるのが特徴です。セラピストがマンパワーで支援するというだけでなく、最新の機器を使って一人ひとりに最適化された治療プランを提供できるようになっています」
リハビリも自由診療となりますが、だからこそ、好きなだけ取り組むことができるというメリットもあります。
辻さん「保険の範囲内だと、治療頻度や期限の上限が決まっています。でも多少お金がかかっても、しっかりリハビリをして機能を少しでも回復させたいという方もいるのです。そういう方々が利用してくださっていますね」






国内の技術の発展と社会実装を目指して
地下1階から3階までにクリニックの各センター、そして4階には、産学協同企業が入居して、藤田医科大学との共同研究開発を行なっています。一例を挙げると、ロート製薬株式会社との共同研究ラボでは、間葉系幹細胞の基礎研究体制を拡充し、並行して医療施設への細胞提供を実施しています。
濱野さん「最新の再生医療では、例えば膝の痛みをなくすのに、自分のお腹から脂肪細胞を取り出して、幹細胞を培養するんですね。それを活性化して膝関節に注入することで、関節の細胞を若返らせることができます。自分の細胞だから、拒絶反応はほぼありません。5、6年前までは人工関節が主な治療法でしたが、今は自分の細胞を使って治療ができるのです」


また、藤田医科大学が力を入れている、ロボット手術の技術向上のためのトレーニング施設も備えています。
濱野さん「手術ロボットはアメリカの『ダヴィンチ』が有名ですが、ここに置いている『hinotori』は、川崎重工が製造している国産の手術ロボットです。実は4階は、国産の医療機器を採用していて、海外の機器はほとんど置いていません。国内技術の発展に貢献していきたいと考えています」
すでに藤田医科大学では『hinotori』を使い、2022年に豊明市から東京にある病院の遠隔手術、2024年には豊明市から5000キロメートル離れたシンガポール国立大学の遠隔手術に成功しています。こうした実証を重ねていくことも、国産技術の普及のためには大切なのです。


医療技術のさらなる発展のために
さまざまな先端医療研究の数々、そこに連動したハイクオリティな治療や検査の提供と、お話を聞けば聞くほど、研究センターは日本の医療の可能性を切り開く希望に溢れていました。
自由診療と言われると自分には縁がない、と感じるかもしれません。しかし、こうした施設が研究を進め、クリニックが臨床データを積み上げることで、先端医療は私たちにとっても身近な治療の一つとなっていきます。
果たしてこの先、どんな研究が実装されていくのでしょうか。羽田から始まる医療のイノベーションに期待が膨らみます。

INFORMATION
【藤田医科大学 羽田クリニック/藤田医科大学東京 先端医療研究センター】
場所:HICity ZONE A B1F-4F
TEL:03-5708-7860
営業時間:8:45~17:00(平日)/8:45〜12:30(土曜)
定休日:日曜・祝日、年末年始
text : Yuki Hirakawa photo : Nozomu Ishikawa