誰もが楽しく飲める場所をつくりたい。羽田と全国をクラフトビールでつなぐ「HANEDA SKY BREWING」
HANEDA INNOVATION CITY(以下、HICity)2Fのイノベーションコリドー(歩行者専用デッキ)沿いにあり、いつもたくさんの人で賑わっている、クラフトビール醸造所併設のレストラン「HANEDA SKY BREWING」は、店内および系列店の醸造所で製造する多種多様なクラフトビールを、いつでも気軽に楽しむことができるお店です。
「ビールをつくるだけでなく、それを楽しく飲んでもらえる場所をつくっていきたい」と話す醸造責任者の北川文也さんに、お店のこだわりや特徴を伺いました。

お酒と料理が気軽に楽しめるブルワリーパブ
「HANEDA SKY BREWING」は店内に醸造所を併設し、常時クラフトビールを製造しているレストラン。「天空〜Tenku〜IPA」「大森貝塚エール」「黒湯ビール」などのフラッグシップビールに加え、ユニークなのは41地域・42種類(2025年6月現在)の全国各地の食材を使った「地域連携ビール」を醸造していること。
お店では、そのときどきに醸造している地域連携ビールが提供されるため、どんなビールが飲めるかは行ってからのお楽しみ。行くたびに違う味が楽しめるのも「HANEDA SKY BREWING」ならでは。また、クラフトビールがメインではあるものの、ワインや日本酒といったほかのお酒も豊富にラインナップ。料理もどれもおいしく、お酒に合うものばかりです。
テラス席のほか、全面ガラス張りの広々した店内には、テーブル席とカウンター席を用意。グループでも一人でも入りやすく、カウンター席の一部からは醸造設備を眺めることもできます。ランチタイムはHICityで働く人々が、ディナータイムはZepp Haneda(TOKYO)にライブを観に来た人や仕事終わりの人、ホテルの宿泊客や羽田空港のトランジットの合間に立ち寄る人など、さまざまな人が訪れます。
「立地的に、クラフトビールが好きな人が来るというより、HICityに来た方がフラリと立ち寄ってくださることが多いんですね。だから僕らが心がけているのは、誰もが飲みやすいビールにすること。度数も5%ぐらいで、食材の味や香りを感じることができ、誰が飲んでもおいしいねって言ってくれる、ちょうどいいバランスのクラフトビールを目指しています」








大きな挑戦だったHICityへの出店
「HANEDA SKY BREWING」は、西蒲田で「羽田バル」という飲食店を経営していた地元企業「株式会社大鵬」が、2店舗目としてオープンした店。クラフトビールの醸造も、大規模施設への出店も初めてとのこと。
「羽田バルのお客さんにHICityの関係者がいらっしゃって、出店のお誘いを受けたそうです。HICityとしては、チェーン店じゃない地元・大田区の飲食店にぜひ入居してもらいたいと考えていたみたいで。数あるお店の中から声をかけてもらえるってすごいことですよね。社長の大屋も、その期待に応えたいと出店を決めました。当時の会社の規模を考えるとかなりのチャレンジだったし、周りにもすごく止められたと聞いています」
しかもオープンした2020年は、ちょうどコロナ禍に突入した年。新しい施設はまだ閑散としていてお客さんも少なく、決して順風満帆の船出ではなかったそうです。
「ただ、コロナが落ち着いてからは、毎晩のようにたくさんのお客さんが来店してくださるようになりました。満席になる日も多く、結果として、この場所に店と醸造所がつくれたことは、会社にとって大きな力になりました」





HICity出店がきっかけで生まれた「地域連携ビール」
また、「HANEDA SKY BREWING」の特徴ともいえる「地域連携ビール」も、HICityに出店したからこそ生まれたものだったそうです。
「全国の信用金庫が連携する『よい仕事おこしネットワーク』というネットワークがあります。信金はいろいろな中小企業に融資をしているので、どこでどういう企業がどんな面白いことをしているかをよくご存知で、日本を明るく元気に! をモットーに、地域を超えたビジネスマッチングを進めているんですね。地域連携ビールも、HICityで『よい仕事おこしプラザ』を運営する『城南信用金庫』とのご縁で、地域がPRしたい食材をビールにして発信しませんかと、ご提案いただいたことから始まりました」
地元食材を使ったクラフトビールはよく聞きますが、全国の食材に触手を広げ、これだけ多種多様なクラフトビールをつくっている醸造所は珍しいと思います。醸造家としては、とても大変ではないのでしょうか。
「めちゃくちゃ大変です(笑)。でもやりがいはものすごくあります。毎回ビールをつくるときに、僕ら醸造家では絶対に考えつかない食材がいっぱい出てくるんです。自分の常識から外れたものがどんどん出てきて、必ず使わなければならない。自分の知らなかった扉が次々用意されて、それをどんどん開けていくんです。すごくエキサイティングで、挑戦しがいがあるといつも思っています」

実は取材当日も、新たな地域連携ビールの仕込み式がありました。今回コラボレーションするのは、醤油発祥の地である和歌山県湯浅町の醤油。和歌山県の岸本周平知事(当時)や醤油を提供する株式会社角長の営業部長らが出席し、タンクの中にホップを投入しました。醤油もビールも、同じ発酵という過程を経て生まれるものではありますが、いったいどのようなマリアージュを起こすのか、想像もつきません。








羽田空港1丁目1番地から日本全国の「おいしい」を発信する
なお、醸造所の規模が非常に小さく、すべての地域連携ビールを常時用意することは難しいものの、1度つくっただけで終わりにはしたくないと、タンクに空きが出るたびに順番に再醸造しているそう。今後は、店舗にある10タップのうち2〜3つをフラッグシップビール、7〜8つはなにかしらの地域連携ビールをセットできるようにしていくことが目標だと北川さんは話します。
「ここの住所は『羽田空港1丁目1番地』なんです。地域連携ビールは、羽田から全国へ飛んでいく、そんな空港のイメージともぴったりだと思っていて。羽田空港1丁目1番地から日本全国の『おいしい』をビールにして発信する。常に発信し続けて、各地域にこんなおいしいものがあるんだよと、たくさんの人に知ってほしいと思います」
羽田と全国をクラフトビールでつなぐ「HANEDA SKY BREWING」。どんなクラフトビールが飲めるのか、一期一会の出会いを楽しみに、ぜひ気軽に訪れてみてください。

INFORMATION
【HANEDA SKY BREWING(羽田スカイブルーイング)】
場所:HICity ZONE D 2F
TEL:03-5579-7350
営業時間:11:00-23:00(L.O.22:30)
定休日:無休
text : Yuki Hirakawa photo : Nozomu Ishikawa