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実証実験データベース
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安価かつ伝搬性の高い通信インフラを目指した「Wi-SUN FAN」によるロボット遠隔誘導の実証実験
HANEDA INNOVATION CITY(以下、HICity)では、国土交通省の支援もあり、自律移動型の配膳ロボットが施設内のフードデリバリーサービスを実施しています。ロボットの導入やその環境整備による生産性、業務代替性、利便性の向上により生産人口減少や担い手不足といった社会課題の解決を目指してきた取り組みです。
上記の中で、Wi-SUN通信は広く活用されているLTEやWi-Fiと比較し維持管理が安価であり、また伝搬性が広いことに着目し、通信手段の代替として実証を行っておりました。その結果、その伝搬性は認められた一方、通信の切り替えにかかる時間による通信途絶状態が発生する事に課題がありました。上記を受けて、本実証実験では敷地の広いHICityを活用し、Wi-SUN通信を活用した際の「途切れることのない通信環境」に向けた課題解決に取り組みました。
また、Wi-SUN FANの特徴としては大きく以下の通りで、センサネットワークであらゆるものの接続し、その一つとして移動体ロボットも対応することをビジョンに実施しています。
・高い伝搬性:メッシュネットワークを利用するため障害物があってもつながりやすい点。
・補完性が高い:自営ネットワークとして構築可能であうぃ、公共の通信網が止まっても影響を受けにくい点。
・省エネ:低消費電力設計のため、電池やソーラーで長期間運用可能で電気代も抑えられる点。
なお、HICityを拠点にスマートシティの取り組みを推進する「羽田第1ゾーンスマートシティ推進協議」とともに、モビリティ・ロボティクス・ツーリズム・ヘルスケア分野の実証実験を行っており、本件はその一環として実施したものです。

- 2022年10月
WiSUNアンテナの準備・対象ロボットへのセッティング等を実施 - 2022年11月~12月
HICity内の1階~3階全体において、Wi-SUN FANの電波強度試験を実施し、固定局の配置場所を検証により最適化(写真1) - 2023年1月
接続機器の切り替え検証を実施
切替時間が長いと、ロボット動作に必要なメッセージ受信の喪失による動作エラ―や動作遅延につながるため、Wi-SUN FAN機器の設定値を見直し、切替時間の改善(最適化)を目的に検証を実施 - 2023年2〜3月
Wi-SUN FAN通信を利用したロボット誘導実験を実施。
切替検証で導き出された切替時間短縮が見込まれる設定を利用し、実際にフードデリバリーシステムのロボット誘導にWi-SUN FANを利用し検証。
ホーム地点から店舗⇒配膳先の誘導を2パターンで試験実施(写真2、3)し、実際にWi-SUN FANを用いたロボット誘導において通信が途切れることで生じるロボットのコントロール不能時間の短縮に成功(写真4)
「Wi-SUNの活用により、建物の最奥部やエレベーター内含め、電波が途切れることで生じるコントロール不能時間を短縮」
- 従来の課題:従来、ロボットの遠隔誘導に利用されてきた4GやWi-Fiの通信電波は、壁などの障害物に影響を受けるため、建物の最奥部やエレベータ内に電波が行き届かず、ロボットが一時的にコントロール不能になるという課題がありました。
- 成果:今回の実証実験では、電波の到達距離が最長1kmと長く、かつ複数の中継器間で網目状にネットワークを構築できる「Wi-SUN FAN」を4GやWi-Fiの補助として用いました。さらにWi-SUNの設置場所の最適化や設定の更新を行い、その結果、ロボットが広範なHICityにおいて“電波が途切れることで生じるコントロール不能時間”を大幅に短縮することに成功しました。
- 課題:Wi-SUN FANは前述のメリットの一方でやり取り可能なデータ量が限られているという点から、2022年度での実証実験では比較的データのやり取りの少ないロボット走行時の誘導を対象に実施しました。2025年中に公開予定のWi-SUN FAN Ver1.1では、さらに高速・大容量・長距離通信が実現されます(関連URL[Wi-SUN FANについて]を参照)。こちらを利用し、よりやり取りのデータ量が多い部分への対応や、ロボット誘導を検証するエリアの拡大などに取り組みめると予想されます。多くの人が通常利用するWi-FiやLTEに影響されない、ロボットの通信網の実現を目指します。
【過去の遍歴】
2022年6月~2023年3月
『国土交通省のスマートシティ実装化支援事業の令和3年度補正事業』
Wi-SUNを活用したロボットの配送ロボットの運用における通信安定性改善効果を検証しました。ここでは、Wi-SUNの通信切替により発生するロボットのコントロール不能時間が課題となりました。
【本プロジェクトの遍歴】
2023年4月~2024年3月
『HICityでWi-SUN FANによるロボット遠隔誘導の実証実験を実施』
鹿島建設株式会社、SolidSurface株式会社、株式会社日新システムズ、羽田みらい開発株式会社でHICityでのWi-SUN FANの機材設置の最適化を行ったうえでロボットの遠隔誘導時の通信切替時間の大幅な短縮に成功しました。
- 実施場所:HANEDA INNOVATION CITY
- 実施会社:鹿島建設株式会社、SolidSurface株式会社、株式会社日新システムズ、羽田みらい開発株式会社
【参考】
・国交省令和3年度スマートシティ実装化支援事業 報告書
https://www.mlit.go.jp/toshi/tosiko/content/001601043.pdf
・国際標準規格「Wi-SUN FAN」について
https://www.co-nss.co.jp/iot/wisun/
【プレスリリース】
・鹿島建設株式会社:羽田イノベーションシティにて到達範囲の広い電波規格 「Wi-SUN FAN」によるロボット遠隔誘導の実証実験に成功(2025年1月22日)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202501/22a1-j.htm
・株式会社日新システムズ:羽田イノベーションシティにて到達範囲の広い電波規格 「Wi-SUN FAN」によるロボット遠隔誘導の実証実験に成功(2025年1月22日)
https://www.co-nss.co.jp/press/20250122.php
・Solidsurface株式会社:羽田イノベーションシティでWi-SUN FAN技術を活用したロボット誘導システムの実証実験を実施(2025年1月22日)
https://www.solidsurface.co.jp/news/%e7%be%bd%e7%94%b0%e3%82%a4%e3%83%8e%e3%83%99%e3%83%bc%e3%82%b7%e3%83%a7%e3%83%b3%e3%82%b7%e3%83%86%e3%82%a3/




