共創の輪を広げる「Beyondカンファレンス」レポート①

#イベント#ワークショップ

2024年5月31日と6月1日、社会課題解決に挑む個人と企業のためのカンファレンス「第3回Beyondカンファレンス2024 in HANEDA INNOVATION CITY」が開催されました。これは「意志ある挑戦があふれる社会を創る」 をミッションに活動する企業とNPOによる共創コンソーシアム「and Beyondカンパニー」が毎年1回開催しているカンファレンスです。活気に溢れた初日の様子をご紹介します。

2日目の様子はこちらからご覧ください。

満席で始まったオープニングセッション

オープニングは大田区産業振興協会が運営する交流スペース「PiO PARK」にて。スペースいっぱいに並べられた座席はすぐに埋まり、平日とは思えない賑わいに驚きました。

入山章栄さん(早稲田大学大学院経営管理研究科/早稲田大学ビジネススクール教授)と原田英治さん(英治出版株式会社共同創業者)によるオープニングセッション「共創大転換! 〜イノベーションを生む「ゆるめる」「おもしろがる」〜」では、入山さんや原田さんが関わる島根県海士町での組織研修の取り組みや、数々のベストセラーを生み出してきた英治出版のちょっと変わった組織づくり、ものづくりに対する考え方について、余すところなく語られました。

最後には、今回のテーマ「握手からはじめよう」にちなみ、隣の席の人と握手をし、互いに会話をする場面もあり、これから始まる2日間の祭典へのワクワクした気持ちが高まりました。

平日の昼間にもかかわらず、ほぼ満席となった会場。世代も服装もさまざまで、学生、NPO職員、会社員、経営者まで、多種多様な人々が集まっていた。
QRコードを読み込んでアンケートに答えると、スクリーンに参加者の回答が表示される。どうやら参加者は全国各地からやってきている様子。
受付を済ませると、まずはシールに名前と興味・関心のあることを書いて名札がわりに。
会場によってはA4用紙に名前や自己紹介を書き、貼り付けているところもあった。とても見やすい(笑)
PiO PARKのオリジナルPRキャラクター「ぴおたん

能登から日本社会のあり方を問う

今回の大きな特徴として、プログラムの中に能登の復興に関するセッションや会議、座談会などが多数組まれていたことが挙げられます。これは主催のand Beyondカンパニー内で「防災災害支援UPDATE !」という日常的な防災・共助の仕組みづくりに取り組んでおり、能登半島地震においても、迅速な支援を行なってきたことから実現したものです。現在も復興や復旧に取り組む能登の人々が、リアルな実情と支援を訴えました。これだけの能登関係者が東京に集結する機会はなかなかないのではないでしょうか。

直接聞く現地の人々の言葉は重く、どんなニュースよりも胸に刺さります。参加者の真剣なまなざしと、グループごとに分かれて交わされる能登のこれからに向けた対話を聴きながら、参加者同士がリアルな場でつながることは、次の一歩を踏み出すきっかけになると感じました。

各登壇者の話を聞いたあと、グループに分かれて作戦会議。真剣な空気に、参加者一人ひとりの能登への思いを感じた。
能登の支援をしたいと思いながらも、どうしていいかわからなかった人にとって、この日の出会いは良いきっかけになったはず。
セッション会場入口では、能登の特産品や支援グッズの販売も行なわれていた。購入するだけでも、支援の第一歩になる。

生物多様性をともに考える

別会場では「第一回PLANET KEEPERSギャザリング」も開催。「地球環境の再生・ネイチャーポジティブの担い手100人会議」と題し、生物多様性や気候変動について、実践者とともに考えるシャッフルカフェが行なわれました。

実践者22名を7、8人ずつ3回に分けて1分間のショートピッチを行なったあと、興味をもった実践者のところに集まり、さらに詳しく話を聞いて、質問や意見交換を行ないます。ひとことでネイチャーポジティブといっても、取り組みの内容はさまざま。自身の興味・関心はどこにあるのか、ともに活動できる取り組みはあるか、多くの情報とヒントが得られたことでしょう。

参加者が非常に多かった「第一回PLANET KEEPERSギャザリング」。学生の姿も多く見られた。
ほとんどのセッションでは、全体でインプットを行なったあと、グループに分かれて対話する時間が必ずある。
よい地域おこしプラザでは、インプットセッション「個人の自己実現/ウェルビーイングを会社の枠組みを超えて応援するには?」がスタート。さまざまなプログラムが同時開催されているので、どのセッションに参加するかとても悩む。

羽田空港の課題解決に異業種連携で取り組む

会場となったHANEDA INNOVATION CITY(以下、HICity)に関連するセッションもありました。「イノベーションを起こす企業間共創とは? point 0 marunouchi と terminal.0の舞台裏」では、新しいオープン・イノベーションの形として注目を集める研究開発拠点「terminal.0 HANEDA」と日本を代表する大企業が共創する「point 0 marunouchi」について、関連する3社が登壇し、実際にどのようなことが行なわれ、どのような成果をあげているのかが語られました。

「terminal.0 HANEDA」は、羽田空港の課題解決に異業種連携で取り組むための研究開発拠点。空港内の移動や検査場のスムーズな運営、香りのおもてなしに衣類を圧縮するサービスまで、空港の課題解決といっても、その内容は実にさまざま。具体的なテーマのもとに集まるコンソーシアムのあり方は、非常に興味深いものでした。

point 0 marunouchi と terminal.0の両方に参画している丹青社、2拠点の施設運営ならびに共創活動支援を担うpoint 0、terminal.0 HANEDAの事業主である日本空港ビルデングの3社が登壇。
羽田空港第3ターミナルとHICity間を運行する自動モビリティの実証実験などもすでに行なっているとのこと。

HICity入居企業の事業紹介

1日目の最後に行なわれたのが「HANEDA INNOVATION CROSS MEET ハネダ X」。これはHICityに入居している企業とイベントへの出展企業や参加者の出会いと交流の機会を提供する企画です。この日は入居企業6社がピッチを行ない、事業内容を参加者に紹介しました。企業の規模も事業内容もさまざまで、HICityのユニークさを感じます。セッション終了後は早速あちこちで名刺交換が行なわれ、新たな出会いが生まれていました。

朝日インテック株式会社 東京R&Dセンター センター長の石原和人さん(左)が登壇。さまざまなワイヤー製造を手がけている企業で、医療用ガイドワイヤー(カテーテル)についてはトップクラスのグローバルシェア率を誇っている。
VxTech株式会社 CEO and Founder​​の小野衣子さん(左)が登壇。テクノロジーを使って登下校中の犯罪から子供たちの安全を守るAI防犯アプリ「SASENAI(サセナイ)」を開発した。
株式会社ウニベル 代表取締役CEOの横山真輔さんが登壇。国内の大学間連携を進め、所属大学の所在地にとらわれない「学びのプラットフォーム」を提供していく。ウニベルのフィールドワークに参加した学生が2名、その体験談を話してくれた。
株式会社SJOY 代表取締役社長の川口相美さん(左)が登壇。terminal.0に入居し、羽田空港にて旅行者向けの衣類圧縮サービス「PocketTips」の展開を検討している。

どの会場も濃厚な学びと活発なディスカッションが繰り広げられ、次につながる出会いがたくさん生まれていたようです。他者の意見に耳を傾け、よりよい未来へ向かっていこうとするオープンな雰囲気が、新たなイノベーションの種となっていくことが感じられた1日でした。

単発で参加する人たちも楽しめるよう、インプット型の講座や野外の出店が用意され、ますます賑わった2日目の模様は、別記事にてレポートします!

INFORMATION

【第3回Beyondカンファレンス2024  in HANEDA INNOVATION CITY】

2024年5月31日(金)ー6月1日(土)
(初夏フェス@HANEDA INNOVATION CITYイベント期間中に開催)
開催場所:HANEDA INNOVATION CITY(PiOPARKterminal.0、よい仕事おこしプラザ、その他)
主催:and Beyond カンパニー
共催:羽田みらい開発株式会社
後援:大田区
イベントHP:https://andbeyondcompany.com/bc2024/

text : Yuki Hirakawa photo : Nozomu Ishikawa

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